2010年08月09日

真夏の大捜索・撃沈編(-_-;;;;;)

それはあまりにも衝撃的な出来事だったので、動揺しすぎた私は不覚にも写真を撮ることすら忘れていた。したがって、写真はほとんどない。


私は愛車、1964年型フォード・ファルコンのディファレンシャルギア・オイル、略して“デフオイル”を交換しようと思い立った。

エンジン換装まで自分の手で行うハードでコアなDIYちゃんを自認するホットでロッドな私にとって、デフオイルを交換することなどヘソで茶を沸かすよりも簡単なこと。ドレンから古いオイルを排出し、フィラーから新しいオイルを入れる、それだけのことだ。が、その不遜な態度が雑な作業につながり、自らの墓穴を掘ってしまったのだった……。

私はオイルを注入するためにこのような容器を用意した。

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この容器にオイルを入れ、ビニールチューブをフィラーの穴に差し入れ、
デフにオイルを注入する。サルでもできる簡単なことだ。

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が、アクシデントは一瞬の出来事だった。なんと、ボトルの先端に取り付けられていたビニールチューブがスルッ! と抜けてしまい、スポッ! と、デフケースの中へ吸い込まれるように落ちてしまったのだ!!

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落としたビニールチューブは直径約1センチ、長さ約5センチメンタル。くにゃくにゃとした比較的柔らかい材質である。とはいえ、多数のギアが高い精度で噛み合って高速回転しているディファレンシャルギア。そのケースの中に異物を混入させる、などということは、脳外科医が手術中にクシャミをして患者の頭の中の脳みそのシワの奥深くにニラの挟まった入れ歯を落としてしまうようなもの、か? ちょっとちがうか? だいぶちがうか? ま、いずれにしても絶対に犯してはいけないミスである。

私は慌ててフイラーの穴に指を突っ込んでみた。穴の直径は指1本がやっと入る大きさだ。その穴に人さし指を突っ込んでデフケースの内部を探ってみると、あった! 微かではあるが、確かに指先に柔らかいビニールの感触を感じた! よし、取れそうだ。取れるぞ。取れ! 私は前身の意識を右手の人さし指1本に集中させた。私は指だ、指なのだ。体も頭の腕もない“指だけ人間”だ。 私は親指……ぢゃなくて“人さし指太郎”なのだ!!

指先に微かに触れたビニールチューブを、私はちぎれんばかりに伸ばした指先でしっかりと捕らえた。捕らえたビニールチューブを人さし指1本でデフケースの内壁にギュッと押し付け、落とさないように細心の注意を払いながらフィラーの穴まで慎重に手繰り寄せた。が、ここで予期せぬ問題が起きた。フィラーの穴の周囲は穴に向かって5ミリほどせり上がっているのだ。この僅か5ミリほどのせり上がりを、どうしても乗り越えることができない……(>_<;)

私はデフの穴に指を突っ込んだまま5分、いや15分、身動きひとつできないままじっと耐えるしかなかった。ほんの少しでも体を動かせば、せっかく捕らえたビニールチューブを落としてしまいそうだった。だが、このままいつまでも指1本で捕らえていたところで、ビニールチューブを取り出すことは絶望的なことのようにも思えた、プルプルプル……。

この日の気温は35度を超えていた。私はデフの穴に指を突っ込んだまま意識が朦朧としてきた。あっ! と意識を取り戻した時は、もう手遅れだった。かろうじて指1本で捕らえていたビニールチューブはスルリと指先から滑り落ち、奈落の底へ消えていった……。

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クワガタムシを調教して取りに行かせようか? クワガタムシは私の指示に素直に従ってオイルまみれのデフケースの中でビニールチューブを見つけて拾ってくるだろうか? それともスタジオジブリでアリエッティを貸してもらおうか? ナリは小さいが一応人間だ。クワガタムシよりも言うことを聞くのではないか? え、あれは作り話だったのか? あまりの暑さとショックで、しばし空想の世界に逃避してみる。ふ、馬鹿なことを考えてしまった。現実を見つめろ、現実を!!!

ファイバースコープはどうだ? 尻から差し入れて大腸ポリープなんかを掴んで取ってくる器用なヤツ。テレビで見たことがある。ネットで調べてみる。げ、すんげえ高いじゃんか!!!

そうだ、ピックアップツールを使えば取れるかもしれない。だが、私はボルトなどを拾う時に使う磁石式のピックアップツールは持っていたが、磁石の利かない物を拾うための“マジックハンド型”ピックアップツールを持っていなかった。私はスーパーカブ号に飛び乗り、近所の工具店に走った。

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帰ってきた時には、もう辺りは暗くなりかけていた。私は作業灯を点け、買ってきたピックアップツールに望みを託して作業を再開した。

近所の家の開け放たれた窓から、子供の泣き声と、叱りつける父親の罵声が聞こえてくる。別の家からは、テレビの音と家族の笑い声が聞こえてくる。いつもと変わりない夏の夕暮れ。だが、私は暗闇の中で作業灯に照らし出されるデフと格闘している。フィラーの穴からピックアップツールを差し入れ、目に見えぬケースの内部を頭の中に思い描きながら、隅々までまさぐる。だが、ピックアップツールの先にビニールの柔らかい感触は伝わってこない。作業灯が熱い。その作業灯の灯りに夏の虫が集まってくる。じっとしていても汗が吹き出す。ああ、虫暑い……ぢゃなくて、蒸し暑い。。。。。。

すっかり夜も更けたころ、辺りが急に騒がしくなってきた。バラバラバラバラ……。ああ、なんということだ! 雨が降ってきやがった。しかも、昼間の猛暑のカタキを取るような勢いの土砂降りだ。もう“ビニールチューブ捜索”どころではない。

ここで私は諦めた。ピックアップツールの先端にビニールの「グニャ」とした感触を感じることは二度となかった。私は散らばった工具やバットで受けた古いオイル、ウエスなどをまとめて車体の下に押し込み、作業灯を消し、不毛な戦いに終止符を打つことにした。ボロボロの体で車体の下から這い出し、気持ちを整理するために火を点けたタバコも、雨粒の一撃でジュッ! という音をたてて消えてしまった……。

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翌日、親しくしている何人かのプロのメカニックに恥を忍んで相談してみた。みな一様に「大丈夫だよお〜、デフケースの中にビニールチューブぐらい入っていたってえ〜(笑)」と言う。オレもそう思う。おそらくビニールチューブはいつまでもケースの中に沈んだままであろう。あるいは、もしケースの中でギアがチューブを噛み込んでしまったとしても、鋼鉄のギアにしてみれば、くにゃくにゃのビニールチューブ1本など“象が蚊を踏んだ”ぐらいの出来事。それによって「ギアが欠ける」などという事態にはならないだろう。

だが、オレは知っている。オレのクルマのデフケースの中には、直径約1センチ、長さ約5センチメンタルのビニールチューブが入っている、ということを……(-_-;;;;;)


人にはだれにでも隠しておきたい恥部のひとつやふたつはあるものだ。
私の恥部は、この中だホーホケキョ。。。。。。。。。。

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posted by フランケン at 20:48| Comment(0) | 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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