2011年08月21日

夏のお修理2011 その2「プロワザのスゴさを見る!」

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(前回からのつづき)
クルマのステアリング・システムにはいくつか種類がありますが、F号
に使われているのはボールナット&セクター(リサーキュレーティング
ボールともいう)というタイプ。


ボールナットというのはステアリングシャフトに貫かれた箱状のギア。
このギアの内部とステアリングシャフトの表面にはスパイラル状の溝が
あり、その溝の中は数十個の鉄球で満たされていています。で、シャフ
トが回転すると溝の中の鉄球が転がりながらボールナットが平行移動。
ボールナットと噛み合ったセクターギア(セクターシャフトと一体)が
回転する、という仕組み(前回のブログの「図1」参照)。このように、
ボールナットは「ギア」でありながら一種の「ボールベアリング」でも
あるため、その材料は「ベアリング鋼」以上の品質でなければならない
ワケです。が、アルゼンチンで作られたFlaming River製のステアリン
グギアボックスは、どうやらその水準には達していなかったようで
…………………(-_-;)


というワケで我が家の物置きの奥から引っ張り出してきたのは、10年
ほど前に中古で買って持っていたFoMoCo純正ステアリングギアボック
ス。さらに遡れば、これは1964年にアメリカ合衆国で製造されたもの。
錆びてみすぼらしく見えますが、アメリカが「鉄鋼王国」の名をほしい
ままにしていた時代に当時の最高水準の材料を贅沢に使って作られた、
正真正銘のMade in USAです!


どうしてこれを使わずに温存していたのか今となってはよく覚えていな
いのですが(-。-;)現状ではロワー・セクターシャフトベアリングが壊れ
て取り外されている状態。だから使わなかったのかな? が、あらため
てよく見てみると、バックラッシュの調整代もまだ十分に残っていて、
全体のコンディションは悪くありません。というワケで、コレをマルゼ
ンモーターに持ち込んでオーバーホールしてもらうことにしたのでした。


さて、まず手配しなければならないのは失われてしまったロワー・セク
ターシャフトベアリング。丸山さんはベアリングのサイズをノギスで計
り、電話帳みたいな工業用ベアリングのカタログとニラメッコ。ベアリ
ングというのは世界共通の規格品なので国内でも調達できる(はず)な
のです。で、すぐに「あ、あるある。中沢く〜ん、あるよ〜!」と言い
ながら部品商に電話で発注。その間、なんと4〜5分(!)。実は、こ
ういうところがベテランのプロのスゴさ! 頭の中に蓄積された膨大な
情報と、それを裏付ける電話帳みたいなカタログ、部品商とのネットワ
ークは、シロウトには真似ができません……………。


では、いよいよオーバーホール開始!

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10年ほど前に買って持っていた中古のFoMoCo純正ステアリングギア
ボックス。

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ハウジングに刻まれた文字はARGENTINA……ぢゃなくて、FoMoCo。
正真正銘のMade in USAです。

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下から内部を覗いたところ。現状ではロワー・セクターシャフトベア
リングが付いていません。

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セクターギアのコンディションは上々。オイルシールはまだ弾力も残
っているので大丈夫……(!?)。壊れて取り外されたロワー・セクタ
ーシャフトベアリングも、ニードルをなくした時の補充用として使える
ので捨てずにとっておきます。

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丸山さん登場! 推定300kgはありそうな巨大な万力がスゲエ!!
腕のいいベテラン・メカニックの仕事っぷりを見せてもらうのは、
ちょっとしたエンターテインメントです♪

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まず、ボールナットの分解。シロウトにはぜったいに無理。プロでも
やりたがらない作業です。そのワケは……………。

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分解するとバラバラとブチまけてしまう数十個の鉄球! シロウトは
この時点で「アチャーッ!>_<;」って感じですが、丸山さんは涼しい顔
ですべての鉄球を洗浄してコンディションをチェック。小さな傷もなく
コンディションは合格です!

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ボールナットの内部の溝もチェック。こちらも問題なし! この溝の
中を数十個の鉄球が循環するワケです。

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組み立て。組み立て精度が悪いとガタつきの原因となりますが、果た
してイマドキの若いメカニックでこれができる人は……………????
ちなみに、ワタクシは自信がありません(-_-;)

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.組み立て完了! ボールナットを手でクルンと回すと、なんの抵抗
もなくシャーッ! と気持ちよく回ります♪

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.新たにゲットしたロワー・セクターシャフトベアリング。ニードル
ローラーベアリング製造の老舗「IKO 日本トムソン」の製品です。
http://www.ikont.co.jp/product/index.html
ちなみに↑をクリックしてもシロウトがネットでお目当てのベアリング
を見つけて購入することはまず無理。買うのも「プロの経験と知識」が
必要なディープな世界です…………。

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プレス機でベアリングを圧入。

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ベアリング装着完了!

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ここで丸山さんのひと工夫。内部へ水や埃の進入を防ぐダストシー
ルを作って取り付けます。実はコレ、オイラがベアリングのニードルを
バラバラと入れて持っていたビンのフタ(!)

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.中を80番のオイルで満たしてオーバーホール完了〜〜〜!!
バックラッシュもパーフェクトに調整してあります。


さて、次回からは場所をMoon Autoに移してステアリングギアボックス
の取り付け。さらに、使用限度に達していたクラッチの交換、以前から
やりたいと思っていたヘダースの加工などを行います
(まだまだつづく)。

posted by フランケン at 17:01| 日記 | このブログの読者になる | 更新情報をチェックする
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