
どもども、御無沙汰です。
ブログのネタに溢れるほど華々しい人生を送っている訳でもなく、
地道で平凡でけっこう忙しくて、ある意味退屈な日々をやりすごして
いる小市民の中沢ヨシオでございます。
で、久々に更新したと思ったら、また修理ネタですが。。。
修理するのが好きな小市民です・・・・・(-_-;)
さてさて、去年の夏にペダルにロッドエンドベアリングを仕込んで
大幅にアップグレードした(つもりだった)クラッチケーブル。
http://frankengallery.seesaa.net/article/125788884.htmlが、サル並みの頭脳でロッドエンドベアリングとケーブルの接続方法
で悩み、結局あの時は「ボルトにテーパー状の溝を切り、ロング
ナットでケーブルを挟んで締め付ける」という、チンパンジー程度の
工作で妥協してしまったのでした、ホーホケキョ。
で、やはり・・・・・(-_-;)
ある日、小生は平凡な小市民らしくヨメと共にゲロゲロゲロ・・・
と反社会的な爆音とCo2をまき散らしながら近所のスーパーへ。
で、いつものように数週間ぶんの食料品を買い込んで帰ろうとした、
その時。
ズポッ! と抜けちまいました、クラッチケーブルが(汗;)。
こういう時、さっきまで「自分を運んでくれる文明の利器」だった
自動車という物が、突然「自分でどうにかして運ばなくてはならない
デカくて重くて厄介な荷物」に変貌してしまいます。
平凡な小市民のヨメはこういうハプニングにもすっかり慣れたもので
「じゃ、ワタシは先に帰るから。がんばってね〜」と、歩いて帰宅。
残されたワシも慣れたもの。いつものようにその場で工具をブチ
まけて修理を開始。が、時すでに夕方。あっという間に日が暮れて
しまい、手許は見えないし、寒いし、メンドクサイので、今回は
あっけなくくじけることにしたのでした。。。。。。。(^_^;)
で、スーパーの店長さんに「駐車場でクルマが動かなくなって
しまったので、ひと晩置かせといてもらえませんか? 明日、朝イチ
で引き上げに来ますから」とウソ泣きで懇願。駐車場まで様子を
見に来た店長さんも、平凡なスーパーの駐車場にまったく似合わない
年代物のアメ車とその周囲に散乱する工具、という、浮き世離れした
光景を目の当たりにしてすぐに「コイツ、ただの小市民じゃねえナ」
と理解した様子。「あ、大丈夫ですよ〜。お店は9時からですけど
駐車場は8時から入れますから自由に入ってください(^_^;)」と、
クルマを置いて帰ることを快諾してくれたのでした。
つーワケで、買った肉も魚も車内に放置してオイラも40分てくてく
歩いて帰宅。で、家に帰ってすぐにカブ号で駐車場へとんぼ返り。
車内に放置してきたナマモノやら米やら醤油やらマヨネーズやら
味噌やらをカブ号に満載して、ようやく帰ることができたのでした。
まったく頼もしいぜ、4万7000円で買った中古のスウパアカブ号♪
翌朝、再びスーパーの駐車場へ。今度は明るいお天道さまの下で
サクッと青空修理。でもそのまま乗り回していては、またいつ
ケーブルがズポッと抜けてもおかしくない状態。これではオチオチ
平凡な小市民生活を送る訳にもいきません。というワケで、
今回はケーブルとロッドエンドベアリングの接続方法に根本的な
設計変更を加えることにしたのです。ポイントは「ハンダ付け」。
実は、今までは「サルでもできる路上修理」にこだわってきたため
コンセントのない路上では不可能なハンダ付けは敬遠してきたのです
が、家で予めハンダ付け加工を済ませたケーブルを数本作ってクルマ
に積んでおけばいいのでは? と気付いたサル並みの頭脳。。。。
では、さっそく制作。

↑ボール盤でM8ボルトの長手方向に3.8ミリ径の穴を貫通させます。
予め木片にボール盤で垂直に穴を開けておいてその穴にボルトを
セットすれば、穴の軸がズレることもなく簡単にボルトのど真ん中に
風穴を開けることができます。
穴とケーブルの隙間にハンダを流すことを考慮して、穴の径は
3ミリ径のケーブルに対して3.8ミリと、やや大きめ。
ボルトは穴開け加工の容易さとハンダの“食い付き”を考慮して、
ナマ鉄の安物をチョイス。ステンレスやチタン合金などの無駄に
ハイクオリチーなボルトは硬くて穴開け加工が大変なだけでなく、
ハンダとの相性もよくないので不可。

↑ボルトの穴にケーブルを通して先端を僅かに突き出し、突き出した
部分のケーブルをほぐして放射状に広げておきます。
強度を確保するためには盛大に広げてしまいたいところですが、
この部分でロッドエンドベアリングと接続しなければならないので
ギリでボルトのネジ径サイズ以下に留めます。
ケーブルはいつもどおり近所のホームセンターで切り売りしてる
ステンレス製ケーブル。1メートル/¥210ナリ。

↑予めケーブルの繊維の隅々まで十分にハンダを絡めたらボルトに
ケーブルを通し、先端からさらにハンダを流し込みます。
ボルトが冷えているとハンダが隅々まで行き渡る前に固まってしまう
ので、ボルトをトーチで熱しながら作業。
突き出し部分はケーブルの“抜け”を防ぐ、もっとも重要な部分。
特に念入りにハンダをテンコ盛ってダンゴ状に固めます。
反対側は先端ほど強度に影響しないとは思いますが、スペースに
制約がないのでここは景気よくハンダをテンコ盛っちゃいます。
盛らないよりはマシでしょう。
ケーブルがステンレスなのでフラックスはステンレス用を使用。

↑完成。トーチで炙ったのでボルトがすでに錆びてます(-_-;)
出先でのトラブルに備えて予備も含めて2本制作し、1本はトランクに
常備。賢明な小市民は執念深くて用心深いのです。

↑以前の取り付け方法と比較。
前回はテーパー状に溝を切ったボルトとロングナットでケーブルを
締め付けて挟む方式。以前のようにケーブルが切れてしまうことも
なく半年も持ちこたえたのは自分で自分をホメてやりたいところ
ですが、切れずに抜けマシタ。。。。。。
今回は、メーカー純正パーツでもポピュラーなハンダ付け方式。
よく考えてみれば、一流大学の工学部卒の理科系エリートがよって
たかって設計してる大手メーカーの量産車のケーブルにもハンダが
使われているのだから強度はダイジョーブなのでしょう、きっと。
それはさておき、ファルコン号のクラッチケーブルがすぐに切れて
しまう原因は他にもあったのでした。
ファルコン号のトランスミッションは79〜95年のマスタングに設定
されていたマニュアル5速「T-5」(アメリカで換装)。
で、このトランスミッションのクラッチはケーブル式。
したがってクラッチケーブルも(チューブのみですが)79〜95年型
マスタング用をまんま流用しているのですが、コレが寸足らず!
長さが足りないのでケーブルをエンジンルーム内でスマートに
取り回すことができず、エンジンと、エンジンルーム側壁やエンジン
マウントとの激狭で複雑な隙間でケーブルは曲がりくねり、高温の
ヘダースに接触しまくる、というオタンコなザマに(-_-;)
こんなチキンな改造をしたバテレンの頭脳はサル以下か????
当然、これでは抵抗が大きくなってケーブルに負担がかかるし、
ヘダースの熱害もハンパではなく、チューブがすぐにダメになって
しまいます。

↑短かすぎて理想的な取り回しができず、狭い場所を曲がりくねり
ながら無理矢理取り回されるクラッチケーブル。抵抗が大きく、
ケーブルに負担がかかる原因になっている。ヘダースとも近すぎで
熱害でチューブが傷みさらに抵抗が増える、という事態に。

↑下から覗くとさらにオタンコな現実が・・・。
チューブはヘダースとエンジンマウントのわずかな隙間でS字状に
折れ曲がり、ここでヘダースと完全に接触(!)。ヘダースには
遮熱ラップ、チューブには断熱材を巻き付けてあるが、焼け石に水。
今回はこの「寸足らずなケーブル」という根本的な欠陥にもメスを
入れます。
「ケーブルの長さ」というのは、要するにケーブルそのものの長さ
ではなく「外周チューブの長さ」です。で、そのチューブは内径さえ
同じ物であれば無理してマスタング用を使う必要はないのです。
という訳で、内径が同じで十分な長さがある流用可能なケーブル
(チューブ付き)を探すことに。
サイズを比較するためのケーブルの切れっ端をポケットに忍ばせ、
向かった先はお台場。日本最大規模のクラシックカー・イベント
「ニューイヤーミーティング」です。お目当てはここで行われる
大規模なガラクタ市(部品交換会、とも言う)。で、狙いは的中!
径がドンピシャリ同じで長〜いケーブルを見つけました。
で、ブルーシートにガラクタを並べて売っている店主に訊ねます。
「おっさん、これナンボ?」「ん〜、ゴヒャクエン」「買った!」
セレブには使い道のない廃品の山にしか見えないのでしょうが、
堅実な倹約家にとって旧車イベントのガラクタ市(泥棒市場、とも
言・・・・わないか?)は貴重な資源が眠っている都市鉱山です。

↑なになに? ファミリアセダン? 新? BRAKE CABLE?
旧い「新しいファミリア」のパーキングブレーキケーブルか?
長さが2メートル30もある! まあ、何用でもいい。
短い物を長くすることは魔法を使ってもできないが、長い物を切る
のはサルでもできる。料理の材料としては上出来だろう。

↑では、さっそく制作。
ファミリアのパーキングブレーキケーブルからケーブルを抜き取って
チューブだけにし、ちょうどいい長さに切断。マスタングのチューブ
から両端の樹脂パーツ(チューブをファイアーウォールとベルハウ
ジングに固定するためのパーツ。これだけは車種ごとの専用設計
なので、他車からの流用は不可)を移植。

↑で、先ほど制作したケーブルと合体して車体に取り付けて、完了!
取り回しが自然になって抵抗が減り、ペダルの動きもスムーズ。
ケーブルにかかる負担も減って切れるリスクも軽減♪
エンジンを大きく迂回して取り回したので、ヘダースの熱害とも
オサラバだ!
さて、冒頭の写真は今年のニューイヤーミーティングの様子。
ここに集まった人々もそれぞれ、自分のポンコツに次々と降り注ぐ
些細なトラブルの辛酸と、それを自分で克服するちっぽけな達成感を
交互に噛み締めながら、平凡で、幸せで、ちょっとしんどい人生を
けっこう楽しんでいるのでしょう・・・・・・・・きっと。